資産運用の方法には、「貯蓄」と「投資」と「投機」。この3つがありますが、実際にどう違うのかを明確に答えられる人も少ないでしょう。特に日本人は貯蓄が大好き(というより貯蓄以外の方法をあまり理解していない)という傾向があります。
しかし、これから投資を始めていくにあたって、ある程度貯蓄ができる能力は必須になってきます。今回は、貯蓄と投資の違いと貯蓄で増えていった資金を投資に回すコツやポイントをお伝えしていきます。
ロボアドバイザー投資『ウェルスナビ』は、いくつかの質問に答えるだけであなたに適した投資先を選んで資産運用してくれます。投資初心者の方でも難しいことは考えずに分散投資をすることができます。貯金の代わりすちょっとずつ分散投資を始めてみてはいかがでしょうか?
目次
貯蓄と投資と投機の違い
ではまず、初めに「貯蓄」と「投資」と「投機」この3つの違いについて解説しましょう。
貯蓄|コツコツと積み立て

まず貯蓄ですが、これは極めてリスクの少ない資産運用方法です。預貯金や定期預金、積立型の保険などがそうですが、ごくわずかな利率ですがお金を外に預けていることで、徐々に増えていく形になります。
「100万円が来年には200万円になっている」というようなことはありませんが、安定的に資産を積み上げていくことができます。もちろん日々の収支をプラスにしていかないことにはお金も積み立ててはいかれません。貯蓄のコツについては後述します。
投資|中長期的な成長

一方、投資は、中長期的な成長を望んで、いったんお金を出資するような形です。株式投資や債券投資などはこちらに分類されます。貯蓄との大きな違いは、いったん出資をするというリスクを負うことです。
しかし、それは長期的な成長のためであって、例えば株式投資などは「あなたの会社にお金を出しますから頑張ってくださいね」と、応援するような感覚です。もちろん、お金を払ったからと言って、成長していくとは限らず、それなりのリスクもあります。
投機|勝つか負けるか

投資と混同されがちですが、投機は、ギャンブル的要素の強いハイリスクハイリターンの資産運用です。いわば、勝つか負けるかの世界で、ギャンブルも投機として言っていいですし、最近流行りの為替レートで資産運用するFXも投機に部類していいかと思われます。
100万円が来月には200万円になっているもあったり、逆に10万円になっていることもあり、とにかく不確定要素が多く、安定的に資産を積み立てていくことにはあまり向いていません。
日本人は貯蓄が多く投資が少ない
このような投資と貯蓄(今回は投機についてはあまり触れません)ですが、日本人の傾向として、日本人は資産運用を貯蓄で行うことがほとんどで、あまり投資をしていないといえます。

上の図は、2015年に金融庁が発表した、個人の金融資産の内訳です。左が日本で、右がアメリカです。色付けしている部分が、株式投資・投資信託・債券のいわゆる投資に分類される金融資産です。
アメリカは全体の金融資産のうち約37%が投資関連の金融資産を保有しているのに対し、日本はわずか13%程度です。そして、現金・預金・保険・年金などのいわゆる貯蓄で金融資産の3/4以上を保有しています。
〇日本は投資に対して遅れている
このことから何が言えるかと言うと、日本は投資に対して遅れをとっているといえます。意図して貯蓄をしているのであればいいのでしょうが、「運用先が良くわからないから」「将来が不安だからとりあえず保険に入っておく」と言ったことが多いのではないのでしょうか。
投資に対して遅れをとっていると申しましたが、裏を返せば、これから投資によって資産を構築していく伸びしろが十分にあるとも言えます。つまり、貯蓄から投資にステップアップすることで、より賢く資産を増やしていけるのです。
投資と貯蓄それぞれのリスク
貯蓄がすでに十分にある方、もしくはすでに投資を考えている方は、貯蓄から投資へのステップアップを考えていきましょう。しかし、その前に投資にも貯蓄にもそれなりのリスクがありますので、投資と貯蓄のそれぞれのリスクについて知っておく必要があります。
投資のリスク|流動性リスクと価格変動リスク
投資の大きなリスクとしてまず挙げられるのが流動性リスクです。流動性リスクとは、簡単に言うと、いざお金が必要になったときにすぐにお金に変えられないリスクです。
投資商品は、上場株式や投資信託、債券などになりますが、これら金融商品はその辺のコンビニATMで簡単にお金に換えられるようなものではありません。
また、価格変動リスクも挙げられます。一度は株価のチャートなどを見たことがあるでしょうが、投資商品は日々価格が変動します。つまり、価値が下がったタイミングで現金に換えてしまうと、損をしてしまうのです。投資は、貯蓄に比べリターンもあるため、このようなリスクがあるといえます。
貯蓄のリスク|インフレリスク
一方で、貯蓄にも少なからずリスクがあります。インフレリスクです。インフレリスクとは、今後物価が上昇(インフレ)したときに、貯蓄している資産の価値が必然的に下がってきてしまうリスクです。
例えば、年利1%の定期預金に100万円を貯蓄していて、1年後に101万円の車を買おうと計画していたとしましょう。通常であれば、1年後には年利で101万円にお金が増えます。しかし、一方で物価が上昇して、車の値段が103万円になってしまったのであれば、車を買うことはできません。
ただでさえリターンが少なく、お金が増えにくい貯蓄ですが、インフレが起きてしまうと、いつまでも増えないどころか、貯蓄しているだけで徐々に資産価値が下がっていくことも考えられます。
貯蓄から投資へのステップアップ
そこでおすすめしたいのが、貯蓄と投資をうまく使い分けるということです。理想は、貯蓄である程度の元手を作り、その余剰分で投資を始めて資産を増やしていくという形です。こちらでは、貯蓄から投資へのステップアップのコツをお伝えします。
今すぐできることが自己投資
現在すでに資金の余裕がある方もそうでない方も、今すぐできる投資方法があります。それは、「自己投資」です。そして、この自己投資をまさに今あなたはやっています。今、このコラムを読んでいるということは、あなたの貴重な時間を投資しているのです。
人生の中で無限のものなど何一つありません。ですので、本当に自分に必要なものに時間やお金を使う嗅覚を磨いていってください。投資は、投資先のことを応援して自分やお金を成長させたり増やしたりすることです。
〇お金や時間を使うときに「それを使うとどうなるか?」を考えるクセを付ける
例えばですが、5万円のビジネススキルアップのセミナーに行って、それで1年後に年収が30万円上がれば、それは自分を成長させて結果的に年収も上がったので、5万円のお金と時間を自己投資できたということになります。
一方で、友達と遊びに行って5万円使っていい思い出になった。それはそれでいいのですが、結果的に将来に結びついていなければ浪費となってしまいます。人生には限りがあります。今日の1時間や今日使う数百円でさえも、これを使うことでどのようなプラスがあるのかを考えながら使うクセを付けていきましょう。
それを身に付けることで、本当に必要なものと不必要なものの見分けがついてくるようになってきます。これがあなた独自の投資哲学です。投資と言っても、良い投資先悪い投資先がありますし、残念なことに投資詐欺などもあります。自己投資の段階からあなた独自の投資哲学を磨いておくことで、本質的に良いものを見分けられる嗅覚が育っていきます。
まずは貯蓄で余裕を作る
その上で最もおすすめの自己投資が「自分への貯蓄」です。多くの人は、給料が振り込まれたとすると、家賃や家のローンを払って、生活費、食費、交際費などを使って、そして余ったお金が「貯蓄」となっていると思います。
そうではないんです。給料が入ったらまず真っ先に貯蓄をするのです。これは自分の将来のための投資です。1万円でもいいですし、お金に苦しい人は数千円でも構いません。とにかく収入があれば別口座などに真っ先に貯蓄をする。
「Paying Yourself First」(まず自分に投資せよ)というアメリカのパーソナルファイナンスの言葉もあります。収入があれば真っ先に貯蓄に回す習慣をつけてください。この場合、普通預金より金利が高くて簡単には引き落とせない定期預金がおすすめです。
一定額が貯まれば投資に回す
一定の貯蓄額が貯まれば、その中から投資に回していきます。お伝えの通り、貯蓄にはインフレリスクがあり、貯蓄だけではお金を増やすことは難しいでしょう。一方で、投資には流動性リスクがありますが、貯蓄で作ったお金は今すぐに必要とするお金ではないので、流動性リスクは怖くありません。
例えば、1年間で100万円の貯蓄をしたとして、100万円で金利5%の国債を買ったとします。1年間で5万円増えます。この5万円も投資に回すのです。次の年も100万円貯蓄して投資したとすれば、合計205万円の国債があります。10万2,500円が増えます。
こうやって、ある程度長い期間で貯蓄と投資を使い分けていくことで、確実にお金は増やしていけます。お金に対する心配は確実になくなっているでしょうし、わざわざやりたくもない仕事で金を稼ぐなんてこともしなくていいのです。投資については他の記事で詳しく解説していきます。
まとめ
いかがでしょうか。
貯蓄は今すぐできる最大の自己投資です。今月のお給料から自己投資を始めていくことを、ぜひ心がけてみてください。そして、貯蓄で作ったお金を今度は投資に回して増やしていきましょう。
他のコラムでも投資について書いていきますので、どうぞよろしくお願いします。
ロボアドバイザー投資『ウェルスナビ』は、いくつかの質問に答えるだけであなたに適した投資先を選んで資産運用してくれます。投資初心者の方でも難しいことは考えずに分散投資をすることができます。貯金の代わりすちょっとずつ分散投資を始めてみてはいかがでしょうか?