債券(さいけん)とは、国や銀行、企業などが事業を運営していくために必要な資金を借り入れるために発行する有価証券(ゆうかしょうけん)のことを言います。投資家は、債券を買うことで運営元にお金を貸すような形になり、利息を受け取ることができます。
発行元の資金調達の為の有価証券ということで、株式と同じような意図で発行されますが、購入前から利率や満期日が決まっているところが株式との大きな違いです。さらに、投資家はお金を貸している形になりますので、満期日には元本が返還されることがほとんどです。
このように、比較的に安定していると言われる債券投資ですが、今回は具体的な債券の仕組みや債券投資のメリット・デメリットなどをお伝えしていきます。
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目次
債券とは|仕組みと発行元
冒頭でもお伝えのように、債券とは、国内問わず国・銀行・企業・公共団体などが資金調達の為に発行する有価証券です。投資家は債券を購入することにより、定期的に利子や満期時の償還金(しょうかんきん)を受け取ることができます。
債券の仕組み

たびたびお伝えしていますが、債券は国や銀行、企業などが資金調達の為に発行します。そして、その資金を出すのがわれわれ投資家になります。債券の購入にあたって、証券会社が間に入ります。
債券購入時に決まること
債券購入時に何が決まっているかと言うと、
- 額面金額
- 利率
- 利払日
- 満期日
などです。
〇額面金額
額面金額とは、債券を購入するにあたっての最低申し込み金額のことで、債券の種類や発行元によって金額はバラバラですが、1万、2万、10万円になっていることが多いようです。
〇利率
利率は、毎年受け取る利息の割合のことを言います。例えば、利率が3%の債券を100万円分購入したら、毎年3万円の利息が出るといったことですね。利率と利回りについては、紛らわしい部分がありますので、後ほどご紹介させていただきます。
〇利払日
利払い日とは、毎年利息が支払われる日のことで、多くの債券が年に2回の利払日があります。さらに、毎年3月と9月に利払日を設けている運営体が多いです。
〇満期日
満期日とは、購入した債券の償還金を受け取ることができる年数・日にちのことです。例えば、国債の場合、「10年もの国債」など聞いたことがあると思いますが、これは、購入から10年後に償還金を受け取れる国の債券と言うことです。
債券の発行元と種類
債券の発行元には様々な機関がありますが、発行元によって債券の呼び名も変わってきますので、代表的なものをご紹介したいと思います。
〇国:国債
国債(こくさい)は、国が発行する債券のことです。その国を運営していくために発行され、その国が破綻でもしない限り、投資家が損をすることもほとんどないかなり安定した債券と言えます。
その国が不景気に陥ると国が資金を必要とするため、国債の利率が上がり、人気が出てくる傾向にあります。
〇銀行:金融債
金融債(きんゆうさい)は、銀行や中央金庫などの金融機関が発行する債券のことです。過去には個人向けの金融債も発行されていましたが、現在は法人向けの金融債が一部発行されているのみです。
〇企業;社債
社債(しゃさい)は、企業が運営資金を集めるために発行する債券のことです。株式と似ていますが、あらかじめ利率や満期日が決まっている点が違います。社債から株式に途中で変更できるものをCB(転換社債)と言います。
〇地方自治体:地方債
地方債(ちほうさい)は、都道府県や市町村の運営資金を集めるための債券です。都道府県によって利回りに違いがあり、破たんのリスクも少ないのですが、北海道の夕張市が破綻したように信用リスクがゼロとは言えません。
〇海外:外国債券
上記は、日本国内の債券の種類についてでしたが、国内の債券と同様に海外の債券も購入することができます。国や企業がほとんどになりますが、まとめて外国債券と言います。
債券での「利回り」と「利率」の違い
いかがですか?債券がどのようなものかお分かりいただけましたか?
債券投資を行うにあたって「利回り」と「利率」の仕組みを理解して利益を出すことが重要になってきます。しかし、2つともどうしても似ているのでこんがらがってしまいますね。
こちらでは、債券投資での「利回り」と、「利率」について解説していきたいと思います。結論を言いますと、債券の良し悪しは「利率」よりも「利回り」で判断することが賢明です。
債券における「利率」とは
利率とは、債券の額面金額に対して、1年間で受け取る利息の割合のことです。例えば、利率3%の債券の額面金額が100万円だとすると、
100万(額面)×0.03(利率)=3万円(利息) |
となります。いたってシンプルですね。もし仮に、3月と9月に利払日があったとすれば、それぞれ1万5千円の利息が受け取れるということです。債券の利率のことをクーポンとも呼びます。
債券における「利回り」とは
利回りとは、投資金額に対して、最終的に得た金額を年数で割ったときの利益の割合を言います。つまり、債券を売買したときの差額と利息を合わせてそれを年数で割った割合です。
では、上記の利率3%で100万円の債券を5年後に105万円の償還金を受け取ったとしましょう。すると、毎年3%の利息に加え、1年あたり1万円分の利益が出ていることになります。この場合、1年あたり合計4万円の利益ですので、利回りは4%です。
このように、最終的には売買益も含めた利回りを算出することが大事になりますので、債券を購入する場合は、利回りで考えるようにしましょう。利回りについては、以下の記事に詳しく記載しました。
債券投資のメリット・デメリット
このように、各発行体の資金調達のための債券には、利息による投資要素があります。債券投資のメリットとデメリットを解説していきます。
債券投資のメリット
債券投資のメリットには以下のようなものがあります。
〇比較的リスクが低い
債券投資は、比較的にリスクが低いと言われています。あらかじめ利率も決まっており、満期日も決まっているので、保険商品の積み立てにも似てある程度の利息や償還金の予測はできるでしょう。
また、お金を貸す形になりますので、満期日まで債権を売却しなければ、元本分の償還金が支払われることがほとんどです。元本割れのリスクは、途中売却や運営体が破綻したようなときのみ起こります。
〇定期的にクーポンを受け取れる
債券の魅力は、定期的に利息(クーポン)を受け取れるところにあります。上記の例で、利率3%の債券を100万円分買ったとすると、年間3万円、年2回の利払いだと、1万5千円ずつ受け取れます。
定期的にボーナスのようにクーポンが受け取れるわけです。利息でちょっといいところに食事に行っても良いでしょうし、旅行してもいいでしょう。本格的に投資をするのであれば、クーポンをさらに積み立ててもいいでしょう。
〇投資初心者でも始めやすい
このように、比較的に安定していることと、購入後の利益がある程度判断しやすいことから、債券投資は初心者向けの投資方法だと言えます。利率も銀行への貯蓄よりも遥かに良いですからね。
国も「個人向け国債」を大々的に押し出して、貯蓄だけではなく、債券の購入を一般の個人からも集めています。
債券投資のデメリット
一方で債券投資にもデメリットはあります。
〇利回りがそこまで大きくない
債券投資の利回りは、そこまで大きいとは言えませんので、本格的に投資をお考えの方や、投資の経験が付いてきた方にとっては少し物足りないかもしれません。ゆくゆくは他の投資商品と組み合わせて購入していくことをおすすめします。
〇銘柄の種類が少ない
また、個人に対しての債券も進んできているとはいえ、まだまだ個人で購入できる債券の銘柄は少ないと言えます。投資信託のパッケージの一つとして、個人では買えない社債や地方債が含まれていることも多いです。
〇債券投資にもリスクはある
債券は比較的に安定しているとはいえ、投資商品であることには変わりありません。投資に関するリスクがあることはお忘れなく。債券で考えられるリスクは以下の通りです。
- 信用リスク
- 価格変動リスク
- 流動性リスク
- 為替変動リスク(外国債券)
- カントリーリスク(外国債券)
リスクについて詳しくは、以下のコラムをご覧ください。
他の投資方法との違い
債券投資のメリット・デメリットはお分かりいただけたでしょうか。他の投資方法にも言えることですが、メリットもあれば必ずデメリットもあります。それらを踏まえた上で、他の投資方法とも比較してみましょう。
株式投資との違い
社債と似た投資方法に、株式投資がありますね。何度かお伝えしていますが、社債と株式の大きな違いは、あらかじめ満期日と利率が決まっているかどうかです。これは、社債と株式の性質の違いにあります。
社債は、企業にお金を貸すということに対して、株は企業にお金を出費するという違いがあります。つまり、社債は企業がお金をだす人に対しての返済義務があります。なので、満期日(返済日)や利率があらかじめ決まっているのです。
一方で、株はあくまでも出費してもらうに過ぎませんので、仮に企業の経営が破たんしたら投資家に返済する義務はないのです。その分、出費してもらったお金で事業を拡大できれば株価も高騰します。また、株式にクーポンはありませんが、株主優待を受けることができます。
債券(社債) | 株式 |
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投資信託との違い

投資信託と債券の違いは根本が違います。投資信託は、債券をはじめとした、株式や不動産などの他の投資商品などを組み合わせて作られたパッケージ商品のようなもので、証券会社がそれぞれの投資信託を用意して販売しています。
債券だけで構成されている、債券ファンドもありますが、その場合も国債や社債、地方債、外国債券など、複数の債券を組み合わせて販売されています。
デメリットで、個人向けの債券の種類は少ないとお伝えしましたが、投資信託では購入できる債券もあります。また、株式や不動産などの利回りが高めの投資商品と組み合わせていることで、リスクを分散しつつも債券より利回りを良くすることも可能です。
債券を購入するときに注目するポイント
最後に、債券を購入する際の注意点をお伝えします。
購入条件をきちんと確認する
お伝えのように、債券は購入時に
- 額面金額
- 利率
- 利払日
- 満期日
が分かりますので、購入前にきちんと確認し、ご自身の身の丈に合った投資商品なのかをほかの商品(債券問わず)と比較してみましょう。例えば、額面が高すぎたり、満期日が長すぎるような場合は、購入したはいいものの、生活に負担が出たり、満期日前に売却することになり、元本割れする可能性もあり得ます。
利回りをチェックする
そしてさらに、利回りまで計算してみると良いですね。利率は表示されている債券は多いでしょうが、利回りまで丁寧に教えてくれる証券会社も少ないので、ご自身で利息に加えて、売買益まで加算した利回りを出してみることが、賢く債券を選ぶコツになります。
投資信託も検討する
場合によっては、債券だけでは投資として物足りないと感じることもあるでしょう。その場合は、投資信託も検討するようにしましょう。リスクを分散し、さらに債券のみの場合より、良い利率が期待できるでしょう。
その場合は、証券会社に対する手数料も発生してきますので、お気を付けください。
まとめ
いかがでしょうか。債券は、運営元にお金を貸すことで、利息によって利益を上げていく投資方法です。満期日の返済保証もされている比較的に安定した投資方法で、定期的に利息を受け取ることができますので、貯蓄からさらにレベルアップしたいとお考えの、投資初心者の方におすすめの投資の一つです。
投資を始めるきっかけとして、債券の購入を検討してみてはいかがでしょうか。
ロボアドバイザー投資『ウェルスナビ』は、いくつかの質問に答えるだけであなたに適した投資先を選んで資産運用してくれます。投資初心者の方でも難しいことは考えずに分散投資をすることができます。貯金の代わりすちょっとずつ分散投資を始めてみてはいかがでしょうか?