投資詐欺(とうしさぎ)とは、投資や資産運用に勧誘してその投資資金をだまし取る詐欺行為を言います。一般的に投資をおこなう人は、財力もあり、資金も持っているので、高額な被害額になってしまうことも多いです。
本文でお伝えしますが、特に高齢者の方は、退職金などで財産も多く、その資産が詐欺師に狙われてしまうことも問題視されています。もちろん、若い方が投資詐欺の被害に逢うことがないとも言い切れません。
せっかく資産運用の一つとして投資を考えている方も、怪しい投資の話を耳にし投資詐欺について調べている方も、絶対に投資の被害には逢ってもらいたくありません。そこで今回は投資詐欺の実態や手法などをご紹介します。
ぜひ、ご自身の身の丈に合った投資方法や資産管理方法で、あなたの資産を大事に育てていってほしいと思います。
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投資詐欺の実態と被害に遭いやすい人
早速ですが、どれほどの人が投資詐欺の被害に遭い、どのような人が投資詐欺の被害に遭ってしまっているのでしょうか。投資詐欺の実態と被害者の傾向についてご説明していきます。
投資詐欺や投資トラブルに対する相談件数

ファンド型 | 投資信託 | 未公開株 | 怪しい社債 | |
2011 | 18,489 | 1,798 | 7,387 | 8,312 |
2012 | 15,495 | 1,596 | 4,916 | 5,375 |
2013 | 17,312 | 1,518 | 3,215 | 4,599 |
2014 | 13,524 | 1,034 | 1,723 | 3,531 |
2015 | 6,956 | 1,065 | 677 | 1,219 |
2016 | 6,518 | 996 | 646 | 1,145 |
上のグラフは「国民生活センター」に寄せられた、金融商品に対する相談件数の推移です。すべてが投資詐欺だとは言い切れませんし、相談件数自体は年々減少傾向にありますが、それでも年間1万件近くの相談が寄せられています。
特に、グラフの色が濃い『未公開株』『怪しい社債』の相談は投資詐欺の可能性が高いです。また、投資信託に関する相談件数は他の相談に対して減少幅が少ない傾向にあります。これは、近年金融機関でも勧められている『貯蓄から投資へ』の流れから、今まで投資に触れてきていなかった方々も投資に挑戦しているものの、十分にリスクの説明を受けていなかったことが考えられます。
高齢者
「政府広報オンライン」によると、平成27年に金融庁に寄せられた全1,237件の投資詐欺に関する相談のうち、65%以上にあたる810件が60歳以上の高齢者だったと報告されています。

高齢者が投資詐欺の被害に遭いやすい理由として、
- 退職金などで高額な資産を持っている
- 老後の不安に付け込んだ勧誘をされる
- 周りに相談する人が少ない
- 判断力が低下している
などが考えられます。特に高齢者は、家族や仕事仲間、友人などと疎遠になっていることが多く、詐欺師から親切にされてしまうと、簡単に心を開いて自分の資産を他人に託してしまう恐れがあります。高齢者被害を防ぐには、家族などの周りの人のサポートが大切です。
自分だけは大丈夫だと考えている人
もちろん、投資詐欺の被害者は高齢者だけとは限りません。投資詐欺に限りませんが、詐欺被害に遭いやすい人の傾向として「自分は大丈夫だ」と、考えている人ほど詐欺被害に遭いやすいのです。
「自分は大丈夫だ」というその油断や自信が、多少現現実離れした投資の話にも引っかかってしまうのです。
投資で一攫千金を狙っている人
また、投資で一攫千金を狙っている人も投資詐欺に遭いやすいです。後述しますが、投資詐欺の手口としてはオイシイ話を持ち掛けてターゲットの気を引きます。
冷静に考えれば、「こんなウマい話は怪しい」と気づけるのですが、投資で一攫千金を狙っている人は、「これはチャンスだ」と、投資詐欺に引っかかってしまうのです。
不安を抱え、余裕がない人
逆に、将来に不安を抱えたり、現状に余裕がない人も投資詐欺に引っかかりやすいです。
「今ある資金で将来に備えましょう」
「投資の配当金で少しずつ余裕を作りましょう」
確かに、上のような誘い文句はちゃんとした投資でも使われるような謳い文句です。しかし、あまりにも不安や余裕がない人は、こちらも冷静になれずまんまと詐欺被害に遭ってしまうのです。
投資詐欺の10つの手口と詐欺師の特徴
それでは、投資詐欺にはどのような手口があるのでしょうか。お金が絡んでくるとついつい冷静な判断が出来なくなってしまいますが、そのように冷静な判断を失ってしまうようなオイシイ話を詐欺師は用意しています。
未公開株や実在しない会社の社債
投資詐欺でも多い手口として、未公開株や実在しない会社の社債への投資話です。「今後大きく価値が上がる」「かなり利率が良い」「ここだけの話」など、簡単に儲かるとターゲットを引き込みやすいのです。
高利回りを謳う
そして、異常なまでの高利回りは詐欺を疑ってください。利回り10%以上で怪しい。30%以上になるとかなり怪しいです。投資についてある程度知っている人ならば、「なぜなんだ」と、警戒から入るでしょうが、投資を全く知らない人が「あなたの100万円を投資すれば1年後に150万円になりますよ。」なんて言われると、少し気持ちが動くかもしれません。
絶対安全|元本保証の投資
人は、得だけではなく大きな安心があることで行動を起こしやすくなります。そこで詐欺師が用意している言葉は、「絶対安全」「元本保証」というフレーズです。投資に絶対という言葉はありません。
途上国へのインフラ整備投資
未公開株のように、「今後絶対伸びる」として挙げられる投資先に途上国があります。「発展途上国のインフラを整えるための企業に投資しませんか?必ず今後伸びますし、慈善活動にもなります。」と、よく知りもしない途上国への投資を勧めてきます。
配当のペースが速い
詐欺商品に魅力を持たせるために、配当金を複数回支払うと持ち掛ける手口もあります。債券の利払いは通常年に2回です。しかし、詐欺師は毎月配当金があるというような誘いをします。
初めはターゲットに得をさせる
巧妙な投資詐欺では、いきなり投資資金をだまし取ったりしません。まずは、ターゲットに少しの利益をもたらします。それによって、さらに投資資金を投じてきたところで詐欺師は姿をくらませるのです。これは、詐欺手口の王道でもあります。
少額投資の投資詐欺
いきなり高額な投資では、ターゲットも警戒してしまいますから、少額からの投資での投資詐欺も存在します。これが非常に厄介で、少額投資は必然的に長期投資にもなり得ますので、被害者はなかなか被害に遭っていることに気付きにくいのです。
中身の伴わない高額セミナー
投資詐欺とまで言い切れませんが、高額な参加料を取るものの、実は中身の薄っぺらい詐欺まがいの投資セミナーも少なくありません。
最先端の投資詐欺
詐欺師は時代の変化に合わせて様々な手法をとってきます。投資詐欺はそれが顕著に現れ、新しい商品やトレンドが生まれると、それに便乗した詐欺を行うのです。情報も錯誤しているので、被害者も多くなる傾向にあります。最近では、FX・バイナリーオプション・仮想通貨などに対する詐欺も見受けられます。
劇場型で巧妙な手口
いきなり見知らぬ人から投資の話を持ち掛けれても、たいていの人が怪しいと思って相手にしないでしょう。しかし、それが全く関係のない他人から同じ投資方法をお勧めされていたらどうでしょうか。このように、複数人があたかも別人を装って同じ投資を勧め、信頼させる方法を劇場型と言います。
投資詐欺を見分けるポイント
このように、様々な手口が見られる投資詐欺。こちらでは、投資詐欺に引っかからないために投資詐欺を見分けるポイントをお伝えします。
実在する会社かどうか調べる
投資詐欺に多い、『未公開株』や『怪しい社債』などをかたった手口を防ぐためには、本当にその会社が実在するかを調べる方法が一番です。実在したとしても、未公開会社が個人の投資家にまで募集をすること自体ほとんどありません。このような話があった時点で「怪しい」と、疑いから入ってください。
信頼できる業者かどうか調べる
もしも、投資で間に業者を挟む場合、
などを確認して、きちんとした業者なのかを確認してください。
反対に、無登録で金融商品を取引したとして名前が公表されている業者もありますので、怪しい金融業者だと思えば、まずは確認しましょう。
オイシイ話は冷静になる
投資詐欺はオイシイ話を持ち込み、ターゲットを誘い出します。特に、以下のフレーズでは投資詐欺でもよく使われますが、いったん冷静になれば怪しいことこの上ありません。オイシイ話には冷静になるクセを付けておきましょう。
怪しいフレーズ |
おかしな部分 |
「絶対儲かる」 | 投資に絶対はありません |
「元本保証」 | 投資にはリスクは付き物です |
「高い利回り」 | なぜそのような話があなたにやって来るのでしょうか |
「誰でも儲かる」 | なぜみんなやっていないのでしょうか |
同時期に同じ投資話があれば注意
上記でも説明した、劇場型の投資詐欺では、同時期に別経路から同じような投資商品を勧められます。これによって「あぁ、この投資方法はひそかに注目されているのか」と、錯覚してしまいがちです。
しかし、そのようなことがそうそうあることはありません。同じタイミングで同じような投資話が向こうからやってきた場合、劇場型の投資詐欺であることを疑ってください。
投資詐欺の実例

こちらでは、実際に起きた投資詐欺の実例をいくつかご紹介します。
架空の投資話で元プロ野球選手逮捕
架空の投資話によって高齢者から合計6,800万円をだまし取ったとして、元プロ野球選手の男が逮捕され、4年6か月の実刑判決を受けました。手口は、株の代理購入をするという話で高齢者6人から合計6,898万円をだまし取ったものです。
参考:「架空投資で被害6000万円超」
FXへの投資詐欺|19億4,000万円の被害
架空の外国為替証拠金取引(FX)に投資を持ち掛け、162人から合計19億4,000万円をだまし取ったとして、投資セミナー運営会社の経営者ら2名が逮捕・起訴されました。
参考:「元経営者ら2人に懲役15年求刑」
カンボジアへの不動産投資で詐欺
カンボジアへの不動産投資名目で、1億2,000万円をだまし取ったとして、不動産会社社長に懲役10年の実刑判決が言い渡されました。上の例でもですが、会社として投資詐欺を行っているところも多く、多くの高齢者が被害に遭っています。
投資詐欺に遭った場合の対処法
最後に、実際に投資詐欺に遭った(遭ったかもしれない)人が行うべき対処法をお伝えします。
詐欺師の特徴を残しておく
この記事をご覧になって、「もしかしてこれって詐欺じゃ…」と、思った方は居ても立っても居られない状態だと思います。しかし、そのような場合でこそいったん冷静になって現状を書き出してください。
これが後の証拠になったり、犯人を突き止めるきっかけになったりします。以下のような内容を思い出せるだけ残しておきましょう。
そして、上記の内容をもとに以下の専門機関に相談するようにしましょう。怪しいと思ったらすぐに相談することです。 詐欺被害に遭ったら警察だと真っ先に思いつく方も多いでしょう。その判断は正しいです。まずは第三者の意見を取り入れてください。警察への通報は『110番』ですが、相談をする場合は『♯9110』の番号を使います。 また、詐欺に対する相談窓口も多く設けられていますので、「警視庁|相談窓口」も利用してください。 警察に相談する際の注意点としては、犯人を見つけたり罰したりすることはできるかもしれないが、支払った投資資金を取り返すことは難しいということがあります。被害額を取り返したい場合は、民事訴訟を起こす必要がでてくることも多いでしょう。 ありとあらゆる消費問題解決に取り組む国民生活センターでは、投資詐欺の相談も受け付けてくれます。「これって投資詐欺なんだろうか」と、判断に困っている場合も、相談することで有益な意見を聞けるでしょう。 また、訴訟や紛争解決の紹介も行っているので、解決へのアドバイスももらえるかもしれません。 証券会社や金融機関とのトラブルは、日本証券業協会へ行うことも可能です。 電話番号:0120-64-5005 ▼「日本証券業協会|苦情やトラブルなど、困ったらすぐご相談を!」 相手の情報が分かっており、被害にあったお金を取り返したいと強くお考えでしたら、弁護士に依頼して民事訴訟によって損害賠償請求を行う方法も取れます。法律のプロフェッショナルですので、困ったときには非常に頼りになるでしょう。ただ、依頼するとなると費用が掛かってしまいます。 このように、困ったら専門家に頼ることは非常に重要なことですが、一点気をつけていただきたいことがあります。それは、詐欺被害に遭った人を狙った詐欺師もいるということです。 「詐欺の被害額取り返します」と言ったうたい文句で、探偵や弁護士などのいかに専門知識があるようになりすまし、依頼料だけ高額に請求するようなケースもあるのです。本来、探偵や弁護士は、探偵業法や弁護士法によって認められた人たちしかその業務をおこなえませんし、名乗ることも出来ません。 二次被害に合わないためにも、救済の手だとしても素性の知れない人物に依頼をしないことです。 いかがでしょうか。 投資詐欺は投資の経験が浅い、投資初心者をつけ狙っています。少しでも投資詐欺の危険を回避するためにも、今回ご説明したような、オイシイ話には警戒をするようにしましょう。 もし、これからの投資をお考えの方は、堅実にコツコツと積み立てていく方法が安心です。まずは、あなたの身の丈にあった投資方法を探していって下さい。 ロボアドバイザー投資『ウェルスナビ』は、いくつかの質問に答えるだけであなたに適した投資先を選んで資産運用してくれます。投資初心者の方でも難しいことは考えずに分散投資をすることができます。貯金の代わりすちょっとずつ分散投資を始めてみてはいかがでしょうか?
専門機関に相談する
〇警察
〇国民生活センター
〇日本証券業協会
利用可能時間:9:00~17:00(平日)〇弁護士
二次被害に注意する
まとめ