マウントゴックス(株式会社Mt.Gox)は、かつて仮想通貨の取引所を運営していた企業で、マウントゴックス社が起こしたビットコインの消失事件をマウントゴックス事件と言います。
損失額は75万BTCものビットコインと28億円の預り金という非常に高額なものでした。当時のビットコインのレートを1BTC=6万円としても470憶円ほどの超高額な消失です。
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政府や中央銀行などが介入しない全く新しい未来の通貨として注目を集めていた仮想通貨ですが、マウントゴックス事件を受けて「胡散臭い」というイメージを世間に持たれてしまったことも事実です。
しかし、時は経ち2017年。仮想通貨が再び注目を集め始めています。今回は、マウントゴックス事件の経緯や市場への影響、そして過去に起きてしまったマウントゴックス事件を受けてこれから仮想通貨を購入する方がどのような防御策をとっていけばいいのかをご紹介していきます。
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目次
マウントゴックスの概要
まずは、マウントゴックス(株式会社Mt.Gox) の概要についてご説明していきます。
取引所以前の業務はカードゲームの交換所
マウントゴックスは、もともと人気カードゲームの「マジック・ザ・ギャザリング」を売買するオンライン上の交換所として設立されました。Mt.Goxの由来はマジック・ザ・ギャザリング(Magic The Gathering)の頭文字『MTG』から取られています。マウントゴックスの創設者は、ジェド・マケーレブ氏です。
2010年にビットコイン事業に転換
マウントゴックスは、2010年にいち早くビットコイン事業に転換。2011年にはマルク・カルプレスに買収され経営権がマルク・カルプレスに移ります。
〇マルク・カルプレスが社長に就任
マルク・カルプレスは、マウントゴックス事件当時にマウントゴックスの社長を務めていたフランス人です。
事件当時は消失事件を受けた会社の代表としてたびたび報道でも取り上げられていましたが、後に社内の人物が事件に関与していたとして、横領容疑で逮捕されています。大のアニメ好きが影響して、2009年から日本に在住。
取引所としての実績
マルク・カルプレスに買収されたマウントゴックス社は、ビットコイン事業で急成長を遂げていきます。2013年4月には世界のビットコインの約7割を占める最大級の取引所にまで成長しました。
マウントゴックス事件の発生と経緯
マウントゴックス事件は以下のような内容となっています。
マウントゴックス事件の発生|2014年2月
2014年2月、債務超過によりマウントゴックス社が民事再生法を適用されました。記者会見では社長のマルク・カルプレスが「ビットコインがなくなってしまい、本当に申し訳ない」と謝罪の記者会見を開きました。
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〇事件での被害額
マウントゴックス事件での被害額は、顧客が保有するビットコイン75万BTCと購入用に預かっていた預り金28億円が消失しました。当時のビットコインは1BTC=6万円前後で、被害額を合計すると470億円以上になると言われています。
〇被害者の大半は外国人
このように、日本国内の会社が起こした高額な消失事件でしたが、実は被害に遭った日本人は非常に少なかったのです。お伝えのように、マウントゴックスは世界の7割のビットコインを占める大規模な取引所でしたが、日本人が仮想通貨を保有することはごくごく一部の話でした。
実際、事件当時のマウントゴックスの顧客12万7,000人の大半は外国人で、日本人の比率はわずか0.8%。人数で言うと約1,000人程度でした。利用者がまだまだ少ない状態でこのような消失事件が起きてしまったことにより、ますます日本人の仮想通貨に対する不信感は募り、今日まで普及が遅れてしまっていることも一要因として考えられます。
マウントゴックス社長を横領などの容疑で逮捕|2015年8月1日
これまでの経緯ではマウントゴックス社はどちらかと言えば、被害者と言ってもいい立場でした。しかし、事態は一変します。2015年8月1日に社長であるマルク・カルプレスが逮捕されてしまいます。
容疑は、私電磁的記録不正作出・供用の容疑です。さらに、社内の人物が消失事件に関わっている可能性もるとして業務上横領の疑いも持たれています。一方で、カルプレスは横領事件への関与を否定して、
「クリーンなビットコイン・マーケットを作ろうと、大切にマウントゴックスを育ててきたので、不正や、顧客に迷惑が及ぶことなど、絶対にしていません。間違って逮捕されることは、とても悲しいけど、これも大好きな日本の一部だと思って、受け入れようと思います」
とのコメントもしています。
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カルプレスの初公判|2017年7月11日
逮捕されたカルプレスの初公判が2017年7月11日に行われました。公判では、顧客に対する謝罪を行ったものの、横領に対する起訴に対しては無罪を主張しました。
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〇マウントゴックス事件に関与したとも考えられる男を逮捕
その後新しい情報も入ります。2017年7月26日に、マウントゴックスから資金をハッキングして、自身が運営するビットコイン取引所でマネーロンダリングをしたとして、ロシア人の男が逮捕されています。
男が運営する取引所は「BTC-e」という取引所。2017年9月現在、アメリカの捜査機関によって運営はストップされているようです。
詳しい情報は出ておりませんが、男はハッキングなどで入手した40憶ドルの資金を資金洗浄した疑いがもたれています。マウントゴックスからハッキングをした疑いも持たれており、マウントゴックス事件の真犯人とも考えられます。横領を疑われていたカルプレスにも何か動きがあるかもしれません。
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マウントゴックスの現在
マウントゴックス事件のその後、マウントゴックス社は消失した分の補てんができることもなく、破綻してしまいます。何度か債権者集会を行い資料を配布しているみたいです。もちろん、現在は取引所の運営はしていません。
【MT.GOXホームページ】
https://www.mtgox.com/
約20万BTCがマウントゴックスに残っていた
2018年に入って、マウントゴックスに関して新たな話題が出てくるようになりました。
マウントゴックスのウォレットに約20万BTCが残っていたということです。
マウントゴックス事件が起きた当時の1BTCの相場は6万円ほどでしたが、現在は15倍以上ある100万円近くにまでなりました。20万BTCを現在価格に直すとなんと2,000億円近くあります。
さらに、2017年8月にはビットコインがハードフォークしてビットコインキャッシュが誕生していますので、同じ枚数のBCC(BCH)も保有していることになります。
ここ数年でビットコインの価格が異常なまでに上昇したことにより、破綻した会社の残り資金が大幅に増えるという不思議な事態になったのです。
2018年3月までに約430億円分のビットコインとビットコインキャッシュを売却
マウントゴックスの破産管財人と裁判所との協議の結果、保有するビットコインおよびハードフォークによって増えたビットコインキャッシュについては、売却して日本円に換えるべきであるということになりました。
裁判所と協議した結果、現時点で一定数量の BTC 及び BCC を売却し一定の配当原資 を金銭で確保することが必要かつ相当であると判断し、上記数量の BTC 及び BCC を売 却するに至った。
引用:『第10回債権者集会配布資料』
仮想通貨の種類 | 売却数量 | 破産管財人口座への入金額 |
BTC | 35,841.00701BTC | 382億3,138万9,537円 |
BCC(BCH) | 34,008.00701BCC | 47億5,665万4,806円 |
合計入金額 | 429億8,804万4,343円 |
2017年9月に行われた第9回債権者集会から2018年3月の第10回債権者集会までの間に約3万5,000BTCとBCC(日本円にして約430億円)が売却されています。
残り約16万BTCが相場に及ぼす影響
これで残るは、約16万BTC及びBCCとなりますが、こちらも引き続き売却されていく可能性が高そうですね。そこで気になることは市場に対する影響です。
マウントゴックスの破産管財人も報告書で
当職は、BTC 及び BCC の売却時点の市場価格を踏まえ、可能な限り高値で BTC 及びBCC を売却するように努めた。今後の BTC 及び BCC の売却に関しては、裁判所と協議して決定したいと考えている。
引用:『第10回債権者集会配布資料』
と市場に影響しないように努めたとありますが、果たしていかがなものでしょうか?
著者もそう思いますし、多少なりとも相場にマイナスの影響を及ぼすと考えられています。
これだけ大量のビットコインですから一度に売却することは難しく分割して売却することになりますが、それでも1度の売却量は相当なもの。その大量のビットコインが売られることにより、他の投資家も一緒に売りの傾向になることがあります。
それにより価格は下落、さらに定期的にこれが続くのですから、ビットコインの市場に少なからずマイナスの影響が及んでいそうですね…。
まだ1/5の3万5BTCしか売却されていませんから、もしもウォレットにある全てのビットコインを売却しようとすると2018年いっぱいはかかる見込みです。年内はマウントゴックスの“亡霊”に少なからず影響を受けそうですね。
マルク・カルプレスの現在
横領などの容疑で起訴されたマルク・カルプレスですが、2018年5月現在、公判は続いていますが、保釈によって身柄は解放されています。
コインチェックのハッキング事件があった時などは、AbemaTVなどでコメントもしていました。
今後は公判による判決がどのように出るかというところですね。
マウントゴックス事件を受けて世の中の反応

お伝えのように、マウントゴックス社は日本国内にある企業でしたが、被害を受けた人の多くは外国人でした。直接的な日本人の被害は少なかったのかもしれませんが、それでも仮想通貨の世界最大級の企業が起こした事件として、国内でも大々的にニュースとして取り上げられました。
これによって多くの人が
仮想通貨なんて怪しい…
そう思ったことでしょう。
でも仮想通貨の可能性は変わらない
マウントゴックス事件を受けて多くの人に『仮想通貨=怪しい』という意識が植え付けられたと思いますが、よくよく考えてみると、今回の事件では仮想通貨そのものの問題はほとんどなく、取引所の管理体制などの問題があったことに気付けるかと思います。
厳密に言えば、中央機関が関与しない通貨だから中小の企業が参入してきて、このようなトラブルを起こしてしまうという仮想通貨の仕組みが事の発端になってしまったとも考えられますが…
確かに、マウントゴックス事件はありましたが、仮想通貨自体の素晴らしさには何ら変わりないのです。
2017年からは改正賃金決済法が施行
本質的に優れているモノは最終的に世間からも認められていくでしょう。マウントゴックス事件から3年。それでも仮想通貨の勢いはとどまることを知ることなく、むしろさらに加速度的に成長を進めていっています。
これを受けてついに、日本国でも政府が重い腰を動かし始めました。仮想通貨に関する法律を整え始めたのです。第一弾の改正賃金決済法は2017年4月1日から施行されています。
大きな決まりとしては、マウントゴックス事件を教訓とした「取引所の登録制と規制」です。これによって、資金力のない中小企業は仮想通貨の交換業が認められなくなりました。反対に、法律が設けられたことにより、GMOやSBIなどの大手企業も仮想通貨の交換業などに参入してきたことも大きな変化です。
利用者を守るための規制もされて、安心して仮想通貨をやり取りできるように、国を挙げて動き出したと言ってもいいでしょう。
マウントゴックス事件の教訓|仮想通貨の利用者がやっておくこと
最後に、このようなマウントゴックス事件受けて、これから仮想通貨を購入しようとしている方やすでにお持ちの方はどのような防御策をとっていくことができるのでしょうか。
リスクを分散させる
仮想通貨に限った話ではありませんが、資産運用・投資をする場合は資産を一か所に固めずに分散することです。特にマウントゴックス事件で分かったことは、取引所のリスクが高いということです。
〇取引所の分散
仮想通貨を保有している人の多くが、1か所の取引所を利用して売買をしているかと思います。脅すわけではありませんが、マウントゴックス事件のような出来事が今後起きないとは言い切れません。
そのような事態になったときに少しでもダメージを軽減させるためにも、取引所は複数に分けて資産管理するようにしましょう。
最初のうちは使いやすい1か所のみでもいいかもしれませんが、ある程度資産が増えてきたのであれば第2第3の取引所にも登録してリスクを分散させましょう。
〇保管先の分散
また、取引所を分散する他にも取引所そのものに資産を置いておくことを避ける方法もあります。「ウォレット」で保管する方法です。ウォレットとは、その名の通り財布を意味するのですが、仮想通貨を取引所と全く関係ない環境で保管することができます。
仮に取り扱いをしていた取引所に何かしらの障害が起きたとしても、ウォレットに保管していれば影響を受けることもありません。ウォレットにもいくつかの種類があります。
ウェブウォレット | ウェブ上・クラウド上で保管 |
デスクトップウォレット | パソコンのデスクトップで保管 |
モバイルウォレット | スマートフォン端末で保管 |
ペーパーウォレット | 紙に印刷して保管 |
ハードウェアウォレット | 専用機器(USBみたいなもの)で保管 |
などがあります。ある程度資産が増えてきたら眠らせておく資産はウォレットで保管するようにしましょう。
セキュリティの徹底管理
さらに、我々利用者が簡単にできることがもう一つあります。セキュリティを高めることです。
〇ID・passは複雑に
まずは、基本中の基本。取引所などで扱うID・passは複雑なものにしましょう。最低でも8文字以上で英数字と大文字小文字は入り混ぜます(この辺は設定時に推奨されるでしょうが)。
また、他の取引所などで使っているID・passの使い回しは厳禁です。ログインのIDがメールアドレスになることも多いでしょうが、メールアドレスも複数に分散できるとさらに安心ですね。
〇ID・passの徹底管理
取引所やウォレットが複数になってくると、ID・passの管理も大変になってきますが、きちんと管理しましょう。忘れない・失くさないはもちろんですが、忘れないためにアチコチにID・passを保管しているとそれだけ流失する危険性も高まります。
忘れてしまわないようにキチンと管理しつつもスッキリと最低限の数で保管をします。パソコンやクラウド上などのデジタルでの保管と、紙や印刷などで保管するアナログでの保管の2種類はしておくことが良いでしょう。
〇使用端末にはセキュリティを入れる
こちらも資産が増えてきたら検討してください。あなた自身のID・passがハッキングされる危険性もあります。それらの危険性を少しでも防ぐためにセキュリティソフトを導入しましょう。
最近ではスマホを狙ったハッキングも多く報告されています。取引所によってはスマホで簡単に操作できるものもありますが、少しでもスマホ上で仮想通貨を取り扱うのであれば、スマホのセキュリティを高めておいてください。もちろんパソコンもです。
だいたい1台2,000~3,000円程度で1年版を購入することができます。
まとめ
いかがでしょうか。2014年にマウントゴックス事件という、大規模な仮想通貨消失事件が起きてしまいました。しかし、それでも仮想通貨の勢いは留まることを知りません。これから仮想通貨を購入することを考えている人も多いでしょう。
確かに、国を挙げても法整備が整えられてきました。しかし、最終的には自分の身は自分で守るものです。今回お伝えした内容を参考に、今後キッチリ資産を守っていっていただければと思います。
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