2017年は、仮想通貨元年とも言われ、ビットコインをはじめとする仮想通貨の価格が軒並み上がっていきました。率直に言いますと、仮想通貨そのものには価値もあり、方法によっては資産を増やしていく投資を行うこともできます。
しかし、仮想通貨の世界はまだまだ未知数で、
- 本当の成功例もある
- 法整備が整っていない
- 認知されていない
- 実体がない
- 誰でも作れてしまう
このような特徴があることで、仮想通貨投資を謳った詐欺が発生していることも事実です。今回は、仮想通貨詐欺の特徴や実態と安全に仮想通貨に投資していくための方法を解説していきたいと思います。
仮想通貨の購入は、きちんと実態があって、国からの認可も受けている仮想通貨取引所(交換所)から行いましょう。確かに仮想通貨の成長・発展には今後も期待できますが、個人間・セミナーなどで購入を勧められる仮想通貨は、詐欺コインである可能性も高いです。繰り返します。仮想通貨の購入は取引所を介して行いましょう。
仮想通貨に関する相談件数の状況
最初に、詐欺事件にまで発展していなくても、国民生活センター寄せられた仮想通貨に関連する相談についても振り返りましょう。
参考:「国民生活センター」
仮想通貨に関する相談件数は増加
まず、国民生活センターに寄せられた仮想通貨に関する相談の件数ですが、下の図のように年々増加しています。

全くもって喜ばしいことではありませんが、綺麗に右肩上がりになっていますね。
2017年は仮想通貨がテレビや雑誌などのメディアに大々的に登場してきましたので、これらの比ではないくらいに相談件数も増えている可能性が高いです。
〇仮想通貨詐欺の相談者の年代
詐欺被害者は、お金を持っており、情報収集があまり得意ではない高齢者が多いのですが、仮想通貨に関する相談者の年代は60歳未満も約半数いる結果になっています(投資詐欺の場合、約65%が60歳以上)。

若い方でも被害に逢いやすい、という点では仮想通貨詐欺が他の詐欺と少し違う点でもあります。
〇実際に支払ってしまった金額
こちらは、すでに購入資金を支払ってしまった方の支払金額の内訳ですが、50~500万円が一番多い金額となっています。

少額からでも購入しやすい仮想通貨ですが、上のような50万~500万円の被害額が多くなっている理由として、
- 詐欺コインには最低購入金額が設定されている
- 被害者が『絶対儲かる』などの投機熱に浮かされて貯金の大半をつぎ込んでしまう
といったことが背景としてあるように思えます。
仮想通貨詐欺の特徴と手口
他の投資詐欺と似ている部分が多くありますが、まずは仮想通貨詐欺にはどのような特徴があり、どのような手口が用いられているのかを知っておきたいところです。
『まだ公開されていない』というような言葉を使う
仮想通貨詐欺で多いものは、「まだ公開されていない」「ここでしか売らない」と言うような、投資詐欺でいう未公開株の詐欺のような話をされることが多いです。
「ここでしか売られていない」とまで言われるくらいですから、情報も出回っていないです。ただでさえ情報がまだまだ少ない仮想通貨ですが、全く聞いたことがない仮想通貨には手を出さないことです。
仮想通貨を購入するのは必ず知名度もあり、取引量もきちんとある取引所から行うようにしましょう。
〇ICOも危険がたくさん
未公開ということで、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)を想像した方も多いでしょうが、ICOも現状は危険が多いです。
情報元によっても違いますが、「Satis Group LLC」というニューヨークにある会社によると、なんとICOの80%は詐欺だとも言われています。他にも途中でプロジェクトが失敗したなどのケースも入れると、なんとICOのわずか8%しか正式に取引所に上場していないようです。
他の情報元でも5~40%は詐欺行為で、失敗まで含めると50%近くあるということです。
ICOの中にはたしかに素晴らしいプロジェクトもありますが、このようなリスクを重々承知の上で参加するようにして下さい。
よく「自己責任」と言われますが、自己責任とは投資先がどのような所かきちんと自分で調べるということでもあります。
保証が付いている
きっぱり言います。仮想通貨に限らず投資は自己責任で、販売者からの保証などは付いていません。なぜ、詐欺コインに保証がつけられていることがあるかと言うと、保証金を支払っても詐欺師が設けられる、もしくは保証金もバックレる予定だからです。
保証がされるとは言っても、返ってくる金額は多くても購入金額の半分。100万円で購入して、50万円になってしまうということです。それを「半分の50万円は保証します」と、言われてしまうと、つい安心してしまいがちですが、初めから価値のないものを売られようとしているのです。
『絶対』という言葉を使う
同じく、投資の世界に絶対ということはありませんが、仮想通貨詐欺では『絶対儲かる』とういう言葉がよく使われます。ビットコインなどの仮想通貨の価格が上がって実際に設けた人も多くいますが、それはあくまでも結果論であって、今後どのようなコインでも絶対に儲かると言い切ることはできないのです。
仮想通貨詐欺では、「ビットコインでは価格が〇倍になった。次は○○コインだ。」というような勧誘をされることがありますが、冷静に考えればそのコインが〇倍になるような根拠はあるのでしょうか?ましてや、仮想通貨の価格を決める要素には、経済や参加企業の動向などが関係してきます。未来の出来事に対して『絶対』と言い切ることはできません。
詐欺師側から接触してくる
詐欺は基本的に詐欺師側から接触してきます。WEBサイトを持っていたり、事業所をもっていると足が付いてしまいますからね。証拠が残らないようにセミナーを開いてそこで購入を促したり、近くの喫茶店で話がされます。
最低購入価格がある
ビットコインはどこの取引所でも大体0.01BTCから購入できます。他の価格が低いアルトコインであれば、数十円から購入することもできます。しかし、詐欺師からしてみればそのような少額で購入されても意味がありません。1度の接触でできる限り高額購入してもらって、その後は連絡を経ちますからね。
仮想通貨詐欺では、1口10万円からというようなある程度高額で購入を勧められます。
取引所やウォレットを騙ったフィッシング詐欺
詐欺コインを買わせるという上のような詐欺方法ではなく、すでに仮想通貨を持っている人に対しての詐欺もあります。
パスワードを抜き取ったり、ビットコインなどを送金させるフィッシング詐欺です。
下のような本物にそっくりなサイトを作り、「不審なアクセスがありました。再度ログインしてください。」「アカウントで危険性が発見されました。BTCを送金して下さい。」などの手法を取ります。
本物にそっくりですね…。
フィッシング詐欺の偽のURLは、何かしらの事情で漏れたメールアドレスに無差別で送られてくるか、検索した時に検索上位に出てくる「広告」と書かれたリスティング広告に貼られていることが多いです。
対策としては、きちんと本物のサイトはブックマークなどしておくことと、新しいリンクからのログインはきちんとURLを確認すること、二段階認証をしておくことを徹底しましょう。
安全に仮想通貨を購入する方法
新しい投資案件や商品が登場してくれば、それに便乗して詐欺が登場してくることも事実です。確かに仮想通貨詐欺はありますが、実際に仮想通貨投資で儲かった人がいることも事実です。
投資である以上、『絶対』という言葉はありませんが、詐欺に騙されずに安全に仮想通貨を購入する方法をお伝えしていきたいと思います。
国から認められた取引所から購入する
初めて仮想通貨を購入するという方は、個人間で購入するのではなく、仮想通貨の取引所から購入するようにしましょう。
2017年4月の法改正により、仮想通貨の交換業者は登録制になりました。仮想通貨を購入するには国から認められている取引所からの購入を行ってください。※2017年4月以前から交換業を営んでいた業者は2017年10月までに許可を得れば問題ないとされています。
参考:「仮想通貨の交換業者の登録制」
すでに出回っている仮想通貨を購入する
また、上記でも簡単に触れましたが、すでに市場に出回っているある程度認知度がある仮想通貨を購入するようにしましょう。金融庁からの許可が出ているような取引所であれば、そもそも安全性が高い仮想通貨しか取り扱いませんので安心度は高いです。
また、「コインマーケットキャップ」で時価総額が上位にある仮想通貨であれば、市場でも多く出回っていると言えますので、安心感は高いですね。初心者の方であれば時価総額10位以内。慣れてきた方でも50位以内の仮想通貨から購入することをおすすめします。
取引所のセキュリティはきちんとする
上場している仮想通貨を購入した後もフィッシング詐欺に気を付けなければなりません。
取引所やウォレットのセキュリティ対策はきちんとしておきましょう。ID・パスワードをきちんと管理することは当然ですし、二段階認証も設定しておきましょう。
また、上のフィッシング詐欺の項目でお伝えしたような、怪しいURLからのログインは絶対に止めましょう。取引所などが「仮想通貨を移してください」などと言ってくることもまずないでしょう。
とにかく、他人事とは思わず、怪しいと思ったら行動を起こす前に、情報収集をすることです。Twitterなどが情報も早いのでおすすめです。
仮想通貨の購入は、きちんと実態があって、国からの認可も受けている仮想通貨取引所(交換所)から行いましょう。確かに仮想通貨の成長・発展には今後も期待できますが、個人間・セミナーなどで購入を勧められる仮想通貨は、詐欺コインである可能性も高いです。繰り返します。仮想通貨の購入は取引所を介して行いましょう。
怪しい仮想通貨を買ってしまった時の対処法
それでは、実際に怪しい詐欺まがいの仮想通貨を買ってしまった方は、どのような方法を取ることができるのでしょうか。こちらでは、怪しい仮想通貨を買ってしまった場合の対処法をお伝えいたします。
少しでも怪しいと思ったらしかるべき機関に相談
まず、少しでも「怪しい」と思ったのであれば、しかるべき機関に相談するようにしてください。「絶対に儲かる」とか「資産が〇倍になる」というような話をされると、つい冷静な判断ができなくなってしまいがちですが、第三者に話すことで冷静な意見をもらうことができます。
相談先が適した場所であれば、それまで多くの詐欺や仮想通貨、投資などの相談を受けていますので、適切なアドバイスをもらうこともできるでしょう。詐欺が疑われたときの相談先は以下のものがあります。
〇消費者ホットライン『188』
消費者ホットラインは、消費生活センターなどの生活相談や適した相談窓口をさらに教えてくれます。電話番号は『188』。「いやや!」と覚えておきましょう。
参考:「消費者ホットライン|消費者庁」
〇国民生活センター
消費問題に関しては、国民生活センターも代表的な機関です。各都道府県にも相談窓口がありますので、相談もしやすいかと思います。土日対応している相談窓口もありますので、少しでも怪しいと思ったら早急に相談するようにしましょう。
〇警察『#9110』
警察と言えば『110』ですが、『#9110』では警察機関に相談することもできます。詐欺事件の可能性が高いと分かれば、警察も犯人を探し出すために動いてくれますので、詐欺と言えるような状態の方、犯人を見つけ出せる証拠があるような方は警察に相談してみても良いでしょう。
参考:「暮らしに役立つ情報|政府広報オンライン」
業者に直接返金を要求する
こちらは、業者の出方次第にもなりますので一概に良いとは言い切れませんが、資金を支払って間もなくであれば、業者に連絡することで全額、もしくは一部が返金されるかもしれません。
繰り返しますが、これはあくまでも業者の出方次第です。支払った後に全く連絡が取れなくなったり、「返金しますので、一度○○料を振り込みお願いします」など、さらに被害が拡大する可能性もゼロではありません。
まずは、上記の相談先に相談したうえで、業者とは連絡するようにしましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
仮想通貨が一般的に注目されていくことの比例して、仮想通貨詐欺も増えてしまっていることは否めない事実です。しかし、仮想通貨の分野そのものは魅力的な世界だと著者は考えます。
安全・安心に仮想通貨投資を始めていただくために、今回お伝えした内容を参考にしていただければと思います。
仮想通貨の購入は、きちんと実態があって、国からの認可も受けている仮想通貨取引所(交換所)から行いましょう。確かに仮想通貨の成長・発展には今後も期待できますが、個人間・セミナーなどで購入を勧められる仮想通貨は、詐欺コインである可能性も高いです。繰り返します。仮想通貨の購入は取引所を介して行いましょう。